忘年会にて
12月の第一日曜日に副業の忘年会があってお誘いを受けた。
最初はどうしようか迷った。と言うのも知っている人が少ない。校長と勤務日がいっしょだった先生二人、あと事務のお姉さん?ぐらいなのだ。
自分の塾は夕方からだから副業での担当は昼間に来られる浪人生しかいない。大きな予備校ではないので浪人生の数も少なく同時間帯に複数のクラスが存在することはめったにないため教師の数も少なくていい。
校長自身も校長の奥様も英語を教えられるというのでもしかしたらオレっていなくてもいーのかも知れない。
それでもオレはこの副業の雰囲気が好きなので、この際だから他の先生方ともお知り合いになれたらいーかも、と思って参加することにした。
行ってみると魚料理自慢の店だった。彼らはなにかにつけいつもここを利用しているのだろう、馴染み客っぽい雰囲気をかもし出していた。
全部で20名ぐらいだったろうか。配偶者を連れてくる人もいて家族的な雰囲気がこの職場の暖かさを物語っている。
とりあえず新参者の自分は端っこの席に陣取って近くの方々とお話を交えた。
で前、横がもとから知っている先生だったので新しい先生と交友を深める、までは行かなかった。
ビンゴ大会もありその店だけに3時間半ぐらいいたろうか。料理もおいしく会費2500円はだいぶ会社の経費を使わせてしまっているのだろうと恐縮した。
いーなあ。
もともとオレはこういう塾をやりたかった。
塾は産業ではない。
教育の場であるから生徒がお客さまであってはならない。ちゃんと一人の人物として向き合いぶつかっていける塾。
もちろん進学実績も塾としては大きな宣伝効果が得られるから大切だけどそれが一番の目標にならない塾。志望校へ向けてのそれぞれ努力を全力でサポートしてあげられる塾。そーすりゃ結果はおのずとついてくる。
生徒が「先生に教えてもらってよかった」と言い、教師も「おまえを教えて楽しかった」と言える塾。
そう思って始めた事業は失敗をし、いまに至る。
今、仕事は順調だがその内容には最近限界を感じ始めているのである。
つまりそれはオレが教えられる教科が1つしかない、ということだ。
英語という教科の特性のおかげで1教科でも塾として成り立ってはいるが、受験後の生徒の報告で「数学でやられた」とか「英語はできたけど国語が・・・」といった報告を聞くとやるせない気分になるのである。
もう一度動くか。
前回は共同経営みたいな形でお互いの主張がかみ合わずに破綻を招いた。今度は経営者として上の立場にたって、とか言っても人を使うことの難しさは経験済みだ。
やっぱ無理かもね。
そんなことを考えながら遠い道のりを帰ったのだった。
それでも帰る方向が一緒だった先生たちと知り合いに慣れたので参加した意義があったし何より楽しかった。