アニメ・クロニクル 003.1
十二国記 「月の影 影の海」
2002年4月放送
いみなし大好きな異世界ファンタジー。DVDで何回見てもおもしろい作品。1回では語りきれないのでシリーズごとに紹介します。
※本作品をご覧になっていない方には完全にネタバレとなりますのでそれをご承知の上ご覧ください。
とにかく細部までしっかりと考え込まれた世界観の設定がすばらしい。
世界観ってあんまり細かくしちゃうとわかりにくいし、設定の深さに溺れてしまいかねない。そうなると見てて意味不明で連続して見る気がうせてしまう。実際そういう作品は多数ある。
あと、エヴァ以来、使徒襲来のようにあえて謎を多くしようとして失敗してしまっているものもある。
この十二国記はそのあたりがとてもよくバランスがとれていると思う。そうは言っても複雑なのは確かだから最初からじゃないと理解は難しいが、ちゃんと見てれば、意味不明で視聴に耐えないということはないはず。
あらすじ
当たり障りのないように八方美人的に高校生活を過ごしている主人公(女子高生)のもとに、ある日異世界から使者がやってくる。使者は主人公のことを「王」と呼び、一緒に使者の世界に来て欲しいと半ば強引に主人公のクラスメート二人を連れて異世界へと連れ帰ってしまう。
とにかくこの初回が興奮もので目が話せない。最初の展開はとてもゆっくりで「つまらなそー」なイメージを与えてしまうかもしれないのだが、使者が来てから急展開が、そりゃあもう!
なんか正体不明の野獣みたいのが次から次へと現れて、聞きなれない語彙がいっぱい出てきて「なに?なに~?」と思わず食らいついてしまうのだ。
その後、異世界へ連れてこられた主人公は敵?の襲撃を受け使者ともクラスメートともはぐれてしまう。
中国っぽいが言葉が通じるため、日本のどこか田舎だろうと主人公が思っていたその世界こそが異世界「十二国」なのであった。
彼女がそう思わざるを得なかったのは無理もない。実は彼女は使者が来たときにある契約を交わしていてこの世界の言葉が理解できるような能力を自然に身に付けていたからである・・・。
そういった事実もナレーションによって説明されるのではないとこがよい。徐々に明らかになっていく。
それはやがて連れて来られたクラスメート二人に再会したとき、彼らがこの世界の言葉をまるで理解できないという事実から判明したりする。
ある契約とは十二国の一つ「慶」という国の王になる、という契約だったのだ。だが彼女にその自覚があるはずもなく、それが回を追うごとに明らかになっていく。
だいたい次のようなルールがある。
1.王は不老不死であるが首を落とされたりすれば死ぬ。
2.十二国それぞれの王一人につき一匹?の麒麟と呼ばれる獣とも人とも言えない家来みたいのが付く。ちなみに主人公を迎えに来た使者が「慶国」の麒麟。
3.その麒麟が主観で王を選び、王が死ねば麒麟も死に、麒麟が死ねば王も死ぬ。するとこの世界の中心にある樹木から次の麒麟が生まれる。ちなみにこの世界では人は木の実から生まれるという摩訶不思議な設定。
4.王がまともな政治を行えば土地も自然と豊かになり人々も平和な生活を送れるが、圧政や天の意志にそぐわないことを行うとその国にだけ天災が増え、おまけに人を食らうような妖魔までが出没するようになる。従って王不在の間の国は荒れ放題に荒れてしまう。
5.まともな政治を行う王の国は何百年もの間、栄え続けることができる。そーゆー意味で王は不老不死で年を取らない。ちなみに一般市民から選ばれた王宮に仕える者たちも不老不死となり年をとらない。
それと陽子の命を付けねらっていたのは慶国の隣国である巧国の王だったのだ。理由は異世界(十二国の住人からすると日本が異世界)から選ばれた王が嫌い、という単純なことなのだが。
この「月の影 影の海」では主人公の中嶋陽子が、さまざまな試練を通し、穏便な生活を送っていた頃の自分を省みながら王であることを自覚し、その運命を受け入れるまでの過程が描かれている。いわばこの物語の序章と言ってよい。
王としての運命を受け入れた後、最後に改めて麒麟との契約を交わすところは鳥肌もんです。
「許す!」
あと麒麟には部下の妖魔がいるのだけれど、そいつらが強くてかっこええ。陽子のサポートもしてくれる。
このような設定のため十二国分の王、麒麟それぞれの物語が作れるわけで原作もかなり大掛かりなものになっている。確かまだ全部完成してないんじゃなかったっけか。
次回は行方不明になってしまった泰(たい)国の麒麟の未完エピソード「風の海 迷宮の岸」をお届けする予定です。
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