外伝6 練馬で迷子 そして帰宅
埼玉地獄を脱出し、颯爽と東京外環に乗る。
ああ・・・。こんなに久しぶりに気持ちよく走れるのは何時間ぶりだろうか。
渋滞もなく80~100ぐらいでゆったりと走る。
間もなく終点の大泉ICに到着。
もう終わり?
そろそろ給油なので降りたらすぐにスタンドで道を尋ねよう。
たまたま入ったスタンドで隣のビルを見ると、MSLなんちゃらって書いてある。
「おお、ここはカワサキ車をカスタマイズして売るので有名な店じゃないか」
試乗もやっているので一度ここへ来ようと思ったが、家から80キロぐらいあるし、混雑する都内で試乗したってしょーがないから辞めておいたのだった。
ってことはここからまだ80キロもあんのか・・・。
時刻は9時40分。
でもまあ何とか今日中には帰れそうじゃないか。
スタンドの兄ちゃんに「神奈川方面へ帰るんで246に出たいんですけど」と聞くと、ここを出てすぐに笹目通りという道路があるのでそれをまっすぐ行けばよい、と教えてもらった。
とにかく246に出れりゃあこっちのもんだ。このルートなら距離も最短距離で帰れるのだから。
そして最後の気合を入れて出発。
腹も減ったが、とりあえず246に出たら考えよう。
だが・・・・
まだ道が混んでいる・・・。
おいおい・・・。もうすぐ夜の10時だぜ。なにやってんだ、こんなところで。とっとと家に帰ろうよ(って自分もだ)。
思うように進めずイライラしていると、なんと前に横浜ナンバーのバイク!
おお!こりゃ方向は合っているようだ。
すると、そいつが陸橋交差している通りで右折するではないか。
もしかしたら空いてて近道なのかもしれない!
よせばいーのにこれにつられて付いていってしまったのだった。
スタンドの兄ちゃんの言ったことをちゃんと信じて行けばよかった・・・・。
なんとなくヤバい香りがしてきたので途中でそいつの後をつけるのを止めた。
今思えばずっと付いていけばよかったのだ。
結果・・・・。
迷子。
なんか駅前の通りに入ってきてしまった。
西荻窪とかいう何線かもわからぬ聞いたこともない駅である。
に、西、西、西、おぎ、おぎ・・・銀座???
どこ?
オレ?キャンプの帰りなんですけどぉ・・・・?
こ、ここはー・・・・
ど、どこですかあ!??
た、助けてくださーーーーーい!
そのうち道が一通になった。
仕方なく前3台の車に追随していくしかない。
まずい、まじで迷子になる。
小学校がある小道あたりをぐるぐる回ってやっと大きめの通りにあるコンビニに漂流。
とりあえずここがどこだか道を尋ねよう・・・。
が、客が多くて店員に話しかける余裕がない。
と、都会だ。
ここは都会なのだ。
しょーがないんで、これからコンビニに入ろうとしている人を捕まえて道を尋ねた。
「に、246に出たいんですが・・・」
と、神にも祈る気持ちで尋ねると、
「環八をずっとまっすぐ行けば出られますけど、246までは遠いですよ」
「い、いーんです。環八へはすぐに出られますか?」
「環八はその道をまっすぐ行けばすぐですよ」
「あ、ありがとーごじゃいましちゃ・・・」
よ、よかたあ・・。
後で地図を見ると、環八からちょっと左に入ってしまっただけだったが、やはりここで50分ぐらいロスをしたようだった。
コンビニのレシートが10時13分。
こりゃメシを食っていたら今日中に帰れそうもなくなってしまった。
今、考えりゃ、どーしても今日中に帰らなければいけない理由なんて別にないのだが・・・。
夜中の0時を回って0時半に家に着いたとしても、たかが30分の差なのに・・。
なんか・・・・。
どーしてもその日のうちに帰りたかった。
聞いたとおり、すぐに環八に出られた。
そこからも未だに道は混んでいたが、今度は何が何でも環八に食らいついて走った。
やがて東名用賀入り口が見えてきた。
このまま高速に乗っちまおうか、と何度も思ったが、ぐっとこらえた。
ここで高速使うなら最初から使ってりゃよかったわけだし。
そして念願の246へ。
よ、よかたあ・・・。
でも・・。
最後に小田原厚木道路だけは使うことにしよう。
それだけを最後の希望として走ることにしよう。
町田市、
大和市、
そ、そして厚木・・・。
か、かえってきたあ!
10時間の時を経て、
Ninjaよ!私は帰ってきたのだーーー!!
って、まだ全然手前なんだけど、もう帰ってきた気分だった。
小田原厚木道路に乗り、出発したときと同じ二宮で降りる。
夜なのにトロい車の後を絶えながら国道1号を走り、
今度はホントに自宅に着いた。
時計を見ると、
0時5分前。
よくもこうして無事に帰宅できたものだ。
携帯を見ると、kazuさんは10時過ぎに築地の自宅に帰宅していた。
遠足は無事に家に着くまでが遠足だからね。
すぐに返信しておいた。
たぶん今日の走行距離は430キロ。10時間。
トータルで900キロ。
タイガー800で走った970キロには及ばなかった。
だが、自分の愛車で走った900キロは、それとは比べものにならないほど大切な記憶として残るような気がする。
実際、仙台弾丸ツアーより数倍の距離を走った感があるのだった。
「ガチョウ倶楽部 福島へ行く! 外伝」
完。
↑最後まで読んで頂きありがたき幸せでごんす(@^0^@)
「よくぞ無事に・・・・」「トータルのロスタイム&距離もすごいんじゃないか?」などなど、いろいろと感想もおありでしょうが、クリックひとつ是非とも恵んでくだされ~o(〃'▽'〃)o