激走!オポーツクライン
「この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです」
つまり、ここから先は妄想なのであしからず。
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日本最北端到達を祝してみんなと握手をし、記念撮影をする。
じっくり感激に浸りたいところなのだが・・・・、
さ、寒い、寒すぎる。
とりあえず道路を渡った先にあるトイレに駆け込む。
建物内がなんと暖かいことか。
ふーっ。
落ち着いたところで本日の最終目的地の宿名をナビに入れてみる。
ええっと、そこまでの距離は・・・・、と。
?
?????
た、隊長!た、大変です。
宿まで・・・・・、
宿までは40キロじゃありませんっ!
ろ、ろくじゅっきろですっ!!
宿入りは17時。だが時刻は間もなく16時になろうとしているところだった。
こんな切迫した状況下で、単身さんが日本最北端のお土産屋さんを見たいと言っている。
・・・・・・。
まあ宿に20分ぐらい遅れる、と電話を一本入れておけば30分ぐらい遅れて着いても許容範囲だろう、と思ったが、隊長がかたくなに遅れることを拒むのである。
なぜだ?
なぜかと言うと、予約の時、宿の電話の対応が怖かったんだそうだ。
「ジンギスカン、食べ放題なんですよね?」と彼が聞くと、「まあ1時間程度ですけどね」というその言い方がぶっきらぼうで相当冷たかったらしく、ここの宿主に対して相当な恐怖感を抱いてしまったようだった。
実際、隊長と一緒に旅をしていて維水志はこの話を全部で3回ほど聞いたぐらい彼の中でトラウマになっているのは事実だった。
じゃ、なんでこの宿に決めたんだろ?
まあそんなこともあって、
隊長:「ダメだ。オレは遅れて行くから二人で先行して5時までに受付してくれ!」
そう言われてもねぇ・・・・。
もうすでに4時だもん。間に合わないっすよ。
だってこれから日本最北端のガソリンスタンドで給油もしなくてはならないし。
一瞬、今テレビで流行りの「ダメよ~、ダメ、ダメ」と言おうと思ったのだが、この人はテレビを見ないし、実際、二日目ぐらいに「隊長、『ダメよ~、ダメ、ダメ』って知ってる?」と聞いたら何のことだかわからず完全無視だったという覚えがあるから止めておいた。
代わりに、
維水志:「ムリだよ。これから給油もしなくちゃいけないんだよ」
隊長:「・・・・行ってくれ」
だ、ダメだ、こりゃ。
まあなあ・・・。そもそも余裕ぶっこいてたのは維水志、単身さんの二人だし・・・。こうなった原因の責任がないわけではない・・・。
一方、単身さんはすでにお土産屋さんを物色中・・・。
う~む・・・。
「隊長、電話を一本入れれば済むんじゃ・・・」の一言を飲み込んで、ここは維水志が先陣を切って突っ走ることを決意した。
とりあえず給油をせにゃ。
16時10分。勢いよくスタンドを出る。
が、単身さんが道を知らないのに気づいて一度Uターンして戻り、「とりあえず60キロは道なりだから」と伝える。
ここから先はオポーツクライン、に名前が変わるのだ。
しっかし寒い。名前からして寒い道路だ。
緊張からか、寒いからなのか、体がガタガタ震える。
おまけにガスってきている。
シールドの外側が露ですぐに曇る。
露を払いつつでも時間の計算をしないといかん。
ええ・・・・と、50分で60キロを走り切らなければならないわけだ。
??
むむっ、計算がよくわからん。
とりあえず16時半までに残りの距離を30キロにしてしまおう。
そうすれば1分1キロで進めばいいのでわかりやすい。落ち着いて走れる。
気合いを入れてかっとぶ。
暫くは全く車両がいない。
「え?マジか?これならイケんじゃね?」
が、甘かった。
それも最初だけだった。
すぐに遥か先に行くクルマ一台発見。
おそらくは結構な速さで進行しているであろうその車両までの距離が瞬く間に縮まっていく。
ぶっちぎらせていただきます。
す、すんませーん。
ぶっちぎった先には次の車両。
再びぶっちぎる。
快調だ。
だが、思ったほど距離が伸びていかない。
まだ15キロぐらいしか進んでないじゃんか!
まだ4分の1だなんて。
なのにもう4時20分を回ってら。
これほどまでに時間が長く感じられるとは!
う~む。学んだ。
かっとんだところでそうそう時間は縮められない。
北海道でこれなのだ。
普段、首都圏で飛ばすことがあるが、そんなのほとんど意味がない、と言える。せいぜい縮まって3分程度なのだろう。
それでも今いるのは北海道。状況も切迫している。
ここは火の玉のごとく突っ走らねばならない。
!
と、そこへ!
マジか!?
し、信号!
と、飛ばした意味が・・・・。
ぶっちぎった車にも追いつかれるんじゃ・・・・。
さらによろしくないことに、その信号で脇道から維水志の進む方向へ何台も車が・・・。
これらもまとめてごぼう抜きするしかないのか。
信号が青になる。
ええ~いっ。
す、すんませーん。
こうして何台もまとめて抜くことができるのも、遥か先まで見渡せる北海道の直線道路のお陰である。
それにしても、
ああ、もう・・。
きっと「なにこんなとこで暴走してやがるんだ?」って思われてるんだろーなあ。
「い、いやね、うちの隊長がですね、宿主が怖くてですね・・・」
って、説明したとしてもまったく説得力のない言い分である。
うーん、だんだん車との遭遇率が高くなってきた。
?
ふとミラーに映る単車のライト?
え?まさか・・・。
た、単身さん?
こ、この速度で走ってて追いつかれたんか!?
い、一体何キロ出して・・・・・。
そーいや、昨日合流したとき、「一般道で○○キロ出せる北海道!」とかあり得ない数値を誇らしげに語っていた記憶が・・・。
だとしたら理解できる。
え、じゃあ維水志、もしかして遅い?この速度でも?
ま、ま、ま、ま、まずい。
そんなプレッシャーをそれこそ最初は感じたが、すぐに「強力な助っ人が加わった」という心強さに変わったのだった。
それにもしかしたら先ほどのの信号に捕まったのが追いつかれた原因かもしれない。
完全に腹がくくれた。
ならば・・・・、
行こーぜ!単身さん!
キャノンボール・ラン!
二人でぶっちぎって、ぶっちぎって、ぶっちぎりまくるんだーっ!
抜かした方々、ごめんなさい。
車内からしたら、いきなり横を「ばびゅ~んっ」と黒と銀色のバイクがかっとんで行ったんだろうなあ。
関係ない人には迷惑極まりないが、それにしても二人して弾丸のように走る姿がかっこいい。
まるで高度なミッションを成し遂げようとしているみたいだ。
維水志、抜きにかかる!
単身さんも続く!
そんなことを繰り返し進んでいくと、やがて海岸沿いから外れたからか、気温もだいぶ上がってきたみたいでもう寒くない。
距離も、知らぬ間に残り20キロを切った。
時間は・・・・。
タイムリミットの17時まで20分以上ある!
グッジョブ!
イケる、イケるぞー!!
いよいよ距離10キロを切る。
カウントダウンだ。
10、9、8・・・・、
ここからは一瞬一瞬がスローモーションの如く脳裏に刻まれる。
が、実際のスピードは速い。
宿1.5キロ手前、ナビ上に右折ポイント。
時刻は!?
16時48分!
よっしゃあ!だいじょぶだ。やれる。
後は道を間違えなければいい。
頼むぞ、ナビ!
そして・・・・。
見つけた!宿の看板!!
最後にダートの壁が我々を待ち受けていた。
し、慎重に・・・。
そして、
つ、着いた!
宿の真ん前にバイクを停車。
続けて横に付けた単身さんがハイタッチを求めている。
10分前!
イエ~イ!!
あははは・・・・、なんだあ?この達成感は?
あー、もう笑いと震えが止まらん。
単身さんは腕時計が示す時刻を写真に収めている。
あーもう!
なんてスリリングで貴重な体験をしたんだ、俺たちは!
充実感がハンパない。
・・・・・・・。
なんか忘れてる・・・・?
あ、そうだ。
受付しなきゃ。
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なぁんて、そんなことがあったらさぞかし楽しかったろうねぇ・・・。
実際はさあ、そーや岬を出たのが3時半だったのさあ。
単身さん作の物語もあるよ↓ ↓ ↓
北海道ツーリング2014 その5 指令! 1700 宿に到達せよ!!
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↑「スリリングな物語だねぇ」「し、しらじらし過ぎる」などと、いろいろと思われたら・・・
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