そして物語は終焉を迎える
7月5日(土)。
14時15分、他の倶楽部員二人に見送られた維水志は、一人苫小牧フェリーターミナルを目指す。
仙台行フェリー乗船手続のタイムリミットは17時である。
残る距離は174キロ。与えられた時間は165分だ。
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最後の北海道ランは初のソロで。
思えばこれまでずっと誰かと一緒だったんだ・・・・。
そーいや、この日の予定は元々考えていたものとは随分と違っている。
当初は新千歳空港に寄ってお土産でも物色し、ラーメンでも食べて帰ろうと思ってた。
だがファーム富田を出るときに設定したナビが示す到着予想時刻は、高速利用にもかかわらず17時を大幅に回って17時40分になっていた。
まあそれはないにしても、どこかによってのんびり休憩をしている時間はない、ということだ。
最後の目標は何事もなく無事にフェリーに乗ること。
従って隊長の言うように、最後は高速道路で苫小牧まで一気に行くのがいいだろう、と思っていた。
が、市街地から外れていく帰り道は、先ほどとはうって変わって思いのほか順調に進む。
だったら別に高速を使う意味がないかも、と考えが変わってきた。
ただ下道を飛ばして御用になるのもなんだしなー、なんて思いながら走っていると前方に結構なペースで走る北見の「わ」ナンバー・マーチを発見。
暫くそいつを追随して走行してたら前が詰まった。
で、レンタカーマーチが前の車をぶっちぎりろうとしているので維水志もそれに続こうとウィンカーを出したときだ、反対車線の草むらに腰掛ける制服姿の男を発見。
マーチはそのままぶっちぎって行ったが維水志は慌てて戻る。
や、やばい。
だが、それは中標津に向かう途中で見たようにこちら側の車線の速度を計測している様子はなかった。その証拠にマーチは何事もなくかっとんでいった。
ここは地元の人のペースに合わせて走るのが良かろう。
一人になった途端、御用になったんじゃアホと罵られるし、旅の最後に嫌な思いをするのは絶対に避けたい。
で、そのうち信号で捕まりそうになったんだが、さっきぶっ飛んでったレンタカーが捕まってたさ。
やはり飛ばしたところで大差はないのだ。
左折。
間もなく占冠ICの標識が見えて来た。
残り距離はまだ100キロちょっとあるか。ナビは国道237号を70キロ以上道なりと言っている。
う~ん、う~ん・・・・。
だったら高速道路と変わらないんじゃね?
先ほどのレンタカーはここから高速道路を利用するようだ。やはり地元民じゃないな。
時間もほぼ2時間残っているし。
えーーーいっ。
維水志は下道で行くんだ!
国道237号を70キロ以上道なり・・・・。
やがて前を行く車もなくなり、マイペースで自由に走る。
「道の駅樹海ロード日高」の標識が。
あ、なんか懐かしい・・・。北海道上陸初日によった道の駅だ。
でも道の駅に着かない代わりに市街地を出て以来、ひっさしぶりの信号に捕まる。
が、80キロ近く走ってきて初めて停車したわ。
さすがにケツが痛いから両足を着いてケツを浮かせる。
な、長い信号だな・・・・。
ん?ここは・・・・?
そうか、ここから先は行きに通った道になるんだ。
5日前は向うからやってきてここで右折し、帯広方面へ向かったんだった。
「あはは・・、あはははは・・・」と笑いながら、5日前にここを曲がった隊長と維水志の幻影が見える・・・。
まあさすがにそれは嘘だけれど、道の駅も曲がった先にあるわけね。
一度でも走った道だからか安心感があるし、見たことがある風景ってだけで懐かしくて嬉しい気分になった。
もう休憩はいらん。苫小牧まで走り切ってやる。
ああ、もうここはサラブレッドの牧場がいっぱいある地域じゃないか。
そしてこれまた懐かしのセイコーマートたんの。初セイコーマートだったところ。
懐かしいけどスルー。
だって間もなく無料高速の入り口が近いってことだからね。
来たあ。無料高速。
無料高速も土曜の夕刻だけに交通量は多いが、それでも順調。
無料高速も終わり、あと数キロを残して現時刻は16時40分過ぎ。余裕で間に合いそうだ。
出た。苫小牧の片側4車線。
取ろうと思えば5車線分ぐらい取れるんじゃないか、と思えるぐらい一つの車線の幅がある。
北海道ではすり抜けるのが楽だわ。
いや、これはすり抜けとは言わないだろ。
隊長を車に乗せて箱根を走ったとき、「こんな道は北海道じゃあり得ない」と言っていたのを思い出した。
た、確かに。
ワインディングらしいワインディングもほぼなかったと言える。
自宅に戻って洗車したときに気づいたが、お陰でタイヤの真ん中だけが極端にすり減っていたよ。
つ、着いた。
174キロを休憩なしで。
この日、トータルで400キロ以上走ったんだ。
けどケツが痛かっただけで疲れがない。耐性がついたのだ。
ケツの痛みは歩き出せばすぐに取れるから問題ないし。
17時5分前。
むむっ!
ものすごいバイクの数!
な、なんだあ?こりゃあ?
見ると、大洗行とか他の方面へ行く車両も一斉にこの辺りに待機しているのがわかった。
ああ、それでこんなに・・・。
それにしても・・・・、
や、やっぱ八戸フェリーよりか断然でかい・・・・・。
倍はありそうだ。
とりあえずバイクを指定位置に停めて乗船手続を済ませに行くことに。
・・・・・。
太平洋フェリーは女子社員を顔で選んでいるだろ?
ちょっと得した気分になったじゃないか。
ともかく乗船開始は17時半だそうだ。あと30分ある。
ならばターミナル内を見学。
できればここで夕食を済ませてしまいたい。
というのも隊長がフェリーのバイキングは美味くない、と酷評していたからだ。
ここはでかい施設なんだなあ。
お土産やも充実してる。
千歳じゃなきゃ買えないだろうと思っていたロイズのお菓子をゲットできたよ。
ポテトチップスをチョコソースでコーティングしてあるやつ。
うちじゃ、これ、とっても人気があって、地元の百貨店で北海道展があると義妹が必ずと言っていいほど買ってくるのだ。
実際に美味しいし。
う~む。これは郵送するわけにはいかんからせいぜい買えても二箱だわな。
ノーマルとキャラメルの二つにしようか。
諦めていたものが手に入り、さらに気分がよくなった。
後は乗船前に腹が満たせればいい。
あたりを見回すとすぐ近くにレストランがあった。
まあここでいーか。
17時10分か。
「カツカレーはすぐできる?」と聞くと「7,8分ぐらいです」というので「じゃ、それで」とすぐに決まった。
ならば8分で食って残り5分でお勘定を済ましバイク乗り場へ行けばよかろう。
こーゆーの一つでも絶対に美味しいのが北海道だよ。
○トマ食堂のマズさが懐かしいぜ。
量が意外に多くて最後はちょっと慌てたが、時間通りに乗り場へ行った。
で、乗船するまで15分ぐらい待たされただろうか。
はあ・・・・・。
いよいよお別れだね、北海道。
今度はいつ来られるかわからんが、絶対にまた来ることを約束しよう。
もう陸地が見えない。
今頃、隊長と単身さんはキャンプ地に入って設営してるころかな?
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↑「車だったら絶対にこんなに走れないだろう。バイクだからこそ、だね」と、思われたら・・・
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