ネコネコ・インパクト 前編
見事リベンジを果たし、新たに家族の一員となるネコちゃんをゲットした我々夫婦は意気揚々と帰路に就いた。
だが、維水志はこの後仕事が控えていて、ともすると始業時間までに帰れない可能性があるのだった。
今日はその話。
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まあ帰れない可能性があるのは最初からわかっていたのだ。
里親面会時間開始が13時。
維水志の始業が17時50分。自宅から職場までは電車で15分程度だから、遅くとも17時ぐらいまでに最寄りの駅まで戻る必要がある。
つまり猫選び＆手続きを含め、タイムリミットは4時間しかない。
で、施設から家まで片道2時間以上かかることを考慮すれば、施設で過ごせる時間は90分が限界と言える。
そこへきて昨日の記事でもわかるように、やたら選定に時間がかかってしまい、気づいたら15時になろうとしていた。
もうこの時点で維水志は帰りの道中で車をマイハニーに託し、電車で直接職場へ向かうことが決まったようなものだった。
実は7年前のちゅーたをある施設からもらい受ける時も同じような状況だった。
その時は場所が東京の上のほうで、猫選びさえもマイハニーに託して維水志はら早々に電車で仕事へ行ったのだった。
あんときゃ東京都内だったので、すぐ近くに鉄道の駅があるから時間もそれなりに計算できて事なきを得たわけだが、今回の施設の周りには駅がないし、確かバス停までも徒歩10分ぐらいかかるほど交通の便が悪いところにあるのだった。
まあそんなんだから首都高へ入って、時間が危うくなってきたらどっかで一度首都高を降りてロマンスカーにでも乗って帰れば間に合うにちがいない、と軽く考えていた。
それよりそのまま車で2時間で帰れてしまえばその必要もなくなるわけだ。
平日の首都高は通勤時にはそれこそ渋滞は必至だろうが、午後15時ぐらいなら返ってスムーズに行くんじゃないかと高を括った。
そこはグーグルナビが有難いことにちゃんと所要時間を教えてくれるわけだが、首都高に乗る前の予想時間が2時間20分という微妙なラインだけに「最初から電車に乗って」という安全な選択肢を省いてしまったのだ。
ところが、こーゆー日に限ってたいてい事故渋滞が発生しているのである。
ついさっき2時間20分だった所要時間は常磐道に乗った後に確認すると2時間40分とかになっているのだった。
あかん。
完全にあかん。
はて？
ではどこで首都高を降りようか？
いや、まて。
新宿へ行ってロマンスカーに乗ったとして、それで間に合うか？
ゲ・・・。
それでも間に合わん。
渋滞で思うように車が進まない中、頭が真っ白になった。
久しぶりに冷や汗、というのをかいた気がする・・・。
どーする？
顧客との約束をぶっちぎるだなんて、15年以上この仕事をやってて全くなかったわけではないが、こんなマヌケなミスでやらかしてしまったことはないわけで・・・。
はっ！
新幹線！
新幹線がある！
何故新幹線が思いつかなかった！？
東京駅だ、東京駅近くで降りりゃいい！
早速マイハニーにナビ検索してもらう。
今まさに渋滞のど真ん中のすぐ先にある、宝町という出口で降りればすぐだそうだ。
18分で着く。
時刻は16時をまわったところで、16時23分のこだまには乗れないにしても、その後の56分には余裕で乗れる。
そして17時半には職場の駅に着ける。
た、助かった・・・。
ああ、よかった。一瞬どーなるかと思った。
ただ、マイハニーにはネコちゃんを乗せたまま不慣れな首都高に再び乗って帰ってもらわないといけない。
それがちょっと心配ではある。
ちゅーたの時は車がレガシィだったからいいが、今は軽自動車だから何かあったらタダでは済まされないだろうし。
まあただ合流時にちょっと気を使うだけであって、普通に走っていれば高速道路のほうが安全っちゃ安全だ。
だが、ここへ来てさらにタイミングが悪いことに、給油を知らせるランプが点灯している。
まあ給油してからでも十分間に合うか。
首都高を宝町で降りる。
ガソリンスタンドを探すが、東京駅近辺だけに石油会社の本社がヒットするだけで肝心のスタンドが見つからない。
焦る。
やっとのことで見つけたそこは、他にスタンドがないのか、めっちゃ混雑している。
今から考えれば、ここは諦めて後でマイハニー一人で給油してもらえばよかったのだ。
新幹線に乗るまでの微妙な余裕時間がまた事態を悪化させるのだった。
ようやく順番が回ってきて給油をする。
「店員がリッター161円ですが、満タンでいいですか？」と聞いてくる。
はあ？ハイオクでもないのにぃ？
都内って何でもイカれてんじゃね？
もう何でもいーからとっとと済ませてくんねーか。
やっと終わった。
こんなに給油が長く感じられたことはないぞ。
そこから5分の東京八重洲口なのだが、これまた曲がる場所を間違えてぐるっと一周しなけりゃいけない始末。
もう焦るとろくなことはない。
八重洲口なんかに停車するスペースがあるか不安だったが、割とだいじょぶだった。
改札口すぐ手前まで行けるのに焦ってちょっと手前で停めてしまった。
ああ、でもとにかく東京駅に無事着いたのだ。15分前だ。
これで安心だ。
後は14番ホームまで迷わずに行ければいいのだ。
着いた安心感で、何もかもが吹っ飛んだのだ。
ここで。
この後、最悪の事態が待ち構えているとはつゆ知らず・・・。
つづく。
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