Ninjaよ!私は帰ってきた!!

バイクが紡ぐ彩り生活!

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昭和ノスタルジアの続き

昨日の続き。

 

当時、横浜の実家には維水志の叔父も同居していた。

 

叔父と言ってもウチのオヤジが長男だったため、その5人兄弟の一番下だったから維水志より5つしか歳は離れていなかった。

 

いわばアニキみたいなもんである。

 

当然、家には彼のお宝の数々がねむっていたのだ。

 

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それがまた無防備な、箪笥の上の段ボール箱の中に無造作に投げ込まれているだけだったという・・・。

 

こ、こんなお宝の山が、こ、こんな簡単に見つかるだなんて・・・。

 

まさか!と思ったがそれが事実だった。

 

叔父が留守の間の限られた時間内で事を済まさないといかんのだが、最初に見つけた時は、山ほどあるお宝の中からどれを選んだらよいかわからなくなるほど気持ちが高揚してしまったのだった。

 

だが、お宝がいじくられた形跡を残してはいけないので、重なっている本の順番等が変わらないようにすることも同時に忘れなかった。

 

まあ今から思えばそんな大雑把な隠し方、否、隠しているとも言えないようなところに保管しておいたのだから、そんなに神経質になる必要もなかったのかもしれん。

 

ともあれ、この世紀の大発見のお陰で、こういったことに関する世界観がだいぶ変わったのは確かだった。

 

 

それで暫く、否、随分と長い期間その恩恵にあずかったのだが、そのうち他人のモノではなく自分自身のお宝が欲しくなってきたのである。

 

 

だが一体、どーしたらいいのだろう?

 

当時は年齢確認などはなかったが、どうみたって自分が18以上に見られるはずがないことは十分自覚できていた。

 

従って、当時はまだコンビニすらない時代だから、本屋経由の正規の入手方法は困難であることは容易に理解できていた。

 

 

そんな折、通学路の途中にこれまたオアシスを発見してしまったのである。

 

 

本の自動販売機を!

 

 

こ、こいつなら年齢を確認されることもないのだ!

 

 

だが、いつ、公の場にあるこいつと取引をすればよいのだろうか?

 

人に見られずに。

 

 

きっと、親が夜外出していないような時を狙うしかないと思った。

 

今思えば、「ランニングする」とか言って、超早朝にゲットしに行ったほうがきっと全然楽だったに違いない。

 

そこまで知恵が働かなかったので、夜の機会が訪れるのを長らく待ったのである。

 

そしてそのチャンスができたとしても、公共の道路の傍らに佇んでいる販売機の近辺に人がいないことがさらなる条件となるのだ。

 

 

だがチャンスは必ずやってくるものだ。

 

 

実際、そんなに待たずにその日がやって来たのだ。

 

ばあちゃんか妹は在宅だったと思うのだが、「ちょっと散歩してくる」と言い残し、ぷらっと家を出る。

 

時刻はもう真夜中近くだったはず。

 

 

本をゲットするのはいいが、どうやって持ち帰るかもまた問題である。

 

確か、ジャージを着ていたので、懐に隠し持って帰ればいーや、程度だったと思う。

 

 

やつが佇む通りに至る道の角を曲がる。

 

街灯が少ないためか、暗闇の中、そいつの姿だけがボウっと浮かんでいる。

 

辺りに人影はない。

 

 

ラッキー!チャンス到来!

 

 

足早に近づく。

 

昼間は光で銀色の紙に反射されて見えない中が、今ははっきりと見える。

 

 

もう心臓がバクバクである。

 

すかさずコインを投入。

 

どれにするか選んでいるヒマなどない。

 

買って、一刻も早くこの場を離れないといかんのだ。

 

 

パッと見、良さげなやつのボタンを押す!

 

 

その刹那!

 

 

ゴトゴト・・・、

 

ガッタン!!

 

 

「ひゃーーーーっ!」(心の中)

 

 

静寂の中の凄まじい音にかなりビビってしまったのだった。

 

が、本が一番下の取り出し口に落ちたのがわかった。

 

キョロキョロしながら本を取り出す。

 

 

あわわわわ・・・・。

 

 

そりゃあもう慌てふためいてブツを懐に押し込みながらその場を去ったのだった。

 

絶対に挙動不審車でしかなかった一瞬だった。

 

 

まあそんなんで無事に帰還したのだったが、言いたいのは、これほどまでの緊張と苦労を強いられないと、当時お宝はゲットできなかった、ということである。

 

 

その後、高校に入り、気の置けない仲間ができてからは、そういった話を恥ずかし気もなく男友達同士で語れるようになり、さらに知識は増えていった。

 

 

当然、仲間は皆、維水志がしてきたような苦労をしていたようで、そういった話を共有できる喜びと言ったらなかった。

 

「そ、そーだよねー!」

 

一時は自分が異常なのではないか?と思い悩むこともあったが、こいつらのお陰でそんな杞憂は一気に吹っ飛んだのだった。

 

もっとマニアックな連中がたくさんいたからである。

 

 

そして、やつらが次なるチャレンジへと維水志をいざなうのだった。

 

 

<つづく>

 

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