昭和ノスタルジアの続きの続き
昨日の続き。
高校生になってからできた仲間のそういったことに関する知識といったらハンパなかった。
自分の視野の狭さに気付かされた。
本の種類はおろか、エロ漫画の作者の名前さえすらすら言ってのけるほどの強者もいた。
「ダーティ松本が最高だ」とか言ってた。
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確かに、「SMが好き」とか平気で言ってのける連中を目の当たりにして、自分の感覚も随分とイカれてしまったのかもしれない。
一応、友人たちの名誉のために言っておくが、これでも横浜市内ではそこそこ優秀な公立進学校の生徒である。
ともあれ、日々いろんな情報が入って来るようになった。
ビニ本と呼ばれる、普通の本屋では手に入らない無修正の本が落ちている場所があるとか、何組のだれそれはそれを何冊も所有しているとか・・・。
一方、ビニ本とまでは行かないが、プレイボーイに代表される、全部がエロじゃない若干おとなし目のプチエロ雑誌は普通に買える年齢になってたんで、夜に街を徘徊しなくてはいけないほど困ってはいなかったが、無修正とはどんなものか、興味がなくはなかった。
で、実際それらを見る機会もほどなくして与えられたが、確か学校に誰かが実物を持ってきたんじゃなかったかしら。
当然ながら、そいつの周りに人の輪ができるのである。
今、客観的に見ると、これはもうバカとしか言いようがないわけだが、当の本人たちはそれはもう真剣だった。
エロ本関連を一通り学んだ次は、反町ロマン座へのチャレンジである。
反町ロマン座は、いわゆるポルノ映画専門(だったと思う)の映画館で、昼間は数本立てを数百円という廉価で見ることができるという、これまた夢のようなシアターなのだった。
今ではほぼ見ることがないが、ポルノ映画のチラシは普通に繁華街に貼られていたから、青少年にはかなり目の毒だった。
こうしたことに免疫がないころは、それが貼られてある場所には目を向けてはいけないものだと思っていたし、気づけばすぐに目をそらしていたが、高校生にもなると、そんな恥じらいはすっかり影をひそめてしまい、「おお!」と、近寄って堂々と見れるようになるものなのだ。
もちろん、友達といれば、だが。
とは言え、18禁のこれを見るにはさすがにハードルが高いんだろうと諦めていたある日、「我、ロマン座侵入ニ成功セリ!」のニュースが飛び込んできた。
「ええっ!?」
と、耳を疑ったが、どうやら本当らしい。
なんたって、映画館には発券機があるわけでもなく、チケットは受付のおばちゃんから直に買わないといかんのだ。
そこで明らかに「こいつどーみても高校生だよな」と思われたら一発で侵入は阻止され、失敗に終わるのである。
その受付嬢の審査をどのようにかいくぐったのか、にわかには信じられなかったが、そいつに詳しく聞くと、高校生だとバレないように、いわゆるプチ変装をしたのが功を奏したらしい。
具体的には、ハンチング帽を被ってったとか・・・。
笑う。
いやいや、おまえならそのままでも全然高校生に見えないじゃんかあ。
こーゆー時だけは、老けて見えるってのはなんと羨ましいことかと思った。
童顔の維水志には絶対に無理だと思えた。
ところがここにまた救いの手が差し出されるのである。
見た目、絶対に二十歳以上にしか見えない、柔道部の屈強な友人が、「俺と一緒なら絶対にだいじょぶだから」と、ロマン座突破を勧めてくれたのである。
なんと有難いことか。
で、当日、反町駅で待ち合わせをしたのだが、現れた柔道部のそいつの出で立ちといったら、そりゃあもう半分ヤクザか?と思えるほどで、確かにどう見繕っても高校生には見えないのだった。
さ、さすが。
これなら維水志でも安心だ。
それでもチケットを買う時はドキドキものだったが、そいつがみんなの分をまとめて買ってくれたので、あっけないほど簡単に突破できたのだった。
にもかかわらず、暫くドキドキが治まらなかったのは、もちろんこれから始まる珠玉のエンタメのせいである。
繁華街のポスターでしか見たことがない、あのポルノ映画。
レンタルビデオもない時代だ、一体、どんな光景が目の前の大きなスクリーンに展開されるのか!と、ワクワクが止まらない。
昼間興行のせいか、館内はがら~んとしていた。
なんか独特の臭さがあるチープ感満載の劇場の中、画面いっぱいに広がる初めての映像は想像を超えるほど刺激的なものだった。
映画を見るのにあんなにドキドキしたのはあれが最初で最後だったかもしれん。
で、4本立てぐらいだったの思うのだが、柔道部のそいつは、自分は大人で、こんなもんはとうの昔に卒業したのだ、と自慢したかったのか、2本ぐらい見たら、「もういいべ」と席を立つのだった。
維水志的にはもっと見たかったのだが、親分がそう言うのでは仕方がない。
それに従ったが、初めての貴重な体験が完全燃焼できないまま終わるのが口惜しい気がしたのだった。
次はいつ来れれるかわからんじゃんか。
だが、例のハンチング帽男がロマン座の壁の突破口を開いて以来、そこは我らの常連となり、館内で「なんでおまえここにいるんだ!」と、帽子を被った同士が鉢合わせをすることもしばしばであった。
慣れ、というのは恐ろしいもので、維水志も容易に単独潜入が可能になるのだった。
要は堂々としていれば問題なかったのだろう。
そしてチェックも甘かった、と言える。
当時は制服のまま飲み屋に入れるほど規制は緩かった。
なんたって文化祭の二次会は飲み屋の2階を貸し切ってやったぐらいである。
まあエロ本、ポルノ映画を卒業したらもう次は風俗なのだろうが、高校生にそんな財力はない。
まだまだ映像の域を超えられないのである。
だが、これまでの映像の記憶が吹き飛んでしまうほどの衝撃を、それから間もなく受けることになったのだった。
まだもう一段階、ステップがあるのだ。
<つづく>
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