栗拾い未遂
マイハニーが去年から楽しみにしていた栗拾い。
それがようやく今日実現する・・・・
・・・はずだった。
そんな小さな幸せが、悪の農園(茅ケ崎芹沢、鈴木園)の心無い対応によって踏みにじられてしまったのだった。
去年、マイハニーが「栗拾いに行きたい」と言い出した頃はすでに時期が過ぎていてアウトだった。
だが、そこで栗拾いのベストシーズンを学んだ彼女は「来年こそは!」と意気込んでいた。
今年はシーズン前からチェックを入れて、募集が始まるやいなやネットで予約を済ましたのだった。
それが8月。
それ以来、ことあるごとに「もうすぐ栗拾いだね」を繰り返し、この日を楽しみに楽しみに待っていた。
場所は茅ヶ崎にある栗拾いの農園である。
茅ヶ崎なんかに山があるとは意外だが、藤沢との境ぐらいにそこはあるのだった。
で、当日。
1時間前に出る予定だったが50分前になってしまい、混んでいる道を選んでしまったのでナビ情報によると10分前後遅刻しそうになった。
それで心配になったマイハニーが園に電話を入れる。
ところが横で会話を聞いていると様子がおかしい・・・。
「え?ちゃんとメールで予約をお願いしてあります」
「そうです。今日です。9月20日です」
「え、どうしてそんなことおっしゃるんですか?」
とか、そんな調子なのである。
どーやら「予約なんか聞いてねーよ」状態なのはわかったのだが、それにしても相手の対応がひどいようで、途中で携帯をオレに渡そうとするのだが、運転中だし状況がわかんないので本人に任せた。
で、電話を切ったあと話しを聞くと、
・予約したのにうちの名前がない
・他の人が来ている
・電話に出ている本人がメールを担当しているというのでメールの確認を迫るが、メールが確認できる場所にいないのでわからないという
・「しょーがないなあ」というスタンスである
・現在地を伝えると「まだそんなとこにいるのか?」といい、まるで「もう来なくていい」という態度である
オレも横で聞いていて、随分とおかしいとは思ったが、もうあと10キロ圏内まで来ているのでとりあえず現地に向かうことにした。
それで対応次第ではキャンセルしてしまうかという気持ちでいた。
結局、10分遅刻で到着。
受付らしきところへ行くと、電話に出た本人ではなく、おばちゃんがいた。
「もう主人が出てしまったので後を追っていってください」と言う。
選ばされた栗を入れるかごと栗掴み?を持って言われた道を不信感を抱きながら進む。
やがて間もなく前方から例の電話の主らしき人物が現れた。
マイハニーが開口一番、ちゃんと予約したと携帯で証拠のメールを見せると、
あろうことか、
「ああ、確かにそうだ。予約の紙に写すの忘れちゃったんだ」
とかなんとか言っている。
で、謝罪はない。
この時点でキレそうになったが、マイハニーが楽しみにしていた日だし、我慢していた。
「それで、どうすればいいですか?」と尋ねると、
「向こうへ行って拾えばいい。たくさん落ちている」
という。ちなみに敬語ではない。
こうこうこうで、こーゆーのがおいしいですからそーゆーのを拾うといいですよ、
とかではない。
さすがに怒ったマイハニーが「感じ悪いねー」と一言いう。
すると、
「あー、感じが悪いんだ」と園主。
それを聞いた維水志、
プッツーーーーーン!!
かごを草むらにぶん投げる。
「はあ?どーゆー態度なんだ、それ?」とにじり寄ると、
「忘れちゃったんだからしょーがない」
だ、そうである。
「その『忘れちゃった』のは誰が悪いんだ」とオレ。
あとなんか言ったと思うのだけれど、相手が言った言葉が印象的で自分のセリフは覚えていない。
「こんな生き方だからしょーがないんだ」
だ、そうである。
出た。
「オレはこうだから仕方がない」
伝家の宝刀である。
そうだろう。
お前はお前だ。しょーがない。
だがな、しょーがないそのお前は客商売をやっているんじゃないのか?
うっかり予約を入れ忘れてしまったしょーがないお前は客に迷惑をかけてもそーゆーお前だから謝らなくてもいーのか?
それを聞いたとたん、こんなやつと長く会話するほうが無駄だと察知したので踵を返してクルマに向かった。タバコをポイ捨てするやつに注意を与えるのと同じぐらいか、それ以上に無駄である。
すると後ろから、
「でもなー、かごを投げるなんて良くないんじゃないか?」
とかなんとか、耳を疑いたくなるような馬鹿げたことをほざいていた。
そうだ。良くない。
だが、たった今、お前の言った言葉を借りて言えば「オレもこーゆー人間だからしょーがない」んじゃないのか?
それは理解できないのか?
もしかして、お前の場合はいいが、オレの場合はダメなのか?
まあ、そうだろうな。だから会話をしても無駄なのだ。
だが最後に捨て台詞を吐かずにはいられなかった。
「まあ、もうかってっから客の一人や二人を嫌な気分にさせたって関係ないんだろ」
案の定、即座に返答があった。
「いーや、うちはお客さんを大切にしてますよ」
山じゅうに響き渡るような裏返った声で「はあーっ????」と思わず叫んでしまった。
いったいこいつの「大切にする」という概念はどういうことを意味するのだろう?
すでにそこから常人から外れているなんて!
マイハニーも「いろいろ(ネットで)書いちゃおうねー」と半ば脅しとも思われる捨て台詞を吐いてクルマに乗り込んだ。
かくして、一年前から楽しみにしていた栗拾いは未遂に終わったのだった。
帰り道、思うに、園主の考えはこうだ。
一日に迎え入れられる客数というのは限られている。
それで、入ってないはずの我々が現れては予定数を上回ってしまい、都合が悪い。
要するに邪魔なわけだ。それで遅刻もしていることだし面倒くさいから帰れ、ということだったのだろう。
不思議なことに、あまりにも呆れたのか、それ以上怒りがこみ上げてくることもなく、逆にみじめなヤロウに思えたのか、記憶から薄れていくのだった。
ちょっと寄り道をして自宅に戻ると、なんと園主(本人が書いたかどうかは不明)から詫びのメールが届いていた。マイハニーの最後の一言が効いたのか?
いや、謝らないで欲しい。
悪は悪のままでいて欲しい。
それにお前はその一言で全て済んだと思っているのだろう?「このオレ様が謝ったんだ。もういいだろう」と。
だがな。こっちはそれじゃ済まんのだ。わかるか?
そもそもこちら側はそれを謝罪とは思っていない。
今さら謝るならなぜその場で一言謝らない?
もう一度電話してきて「申し訳ございませんでした。二度とこのようなことをいたしません。お詫びの栗を郵送いたしますのでできれば住所をお伺いすることはできますか?」
というなら謝罪と受け取っていいだろう。
だが、誰が書いたかもわからない文面の付け焼刃のイーメールを送ったところでそれが謝罪になろうか?
なんねーな。
ガソリン代よこせ。
茅ヶ崎市芹沢の鈴木園よ。
あと小さな幸せもな。
いやー。
あんな人間いるんだー。希少価値ありだよ。ありゃ。
↑最後まで読んで頂きありがたき幸せでごんす(@^0^@)
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